着想
ソ連型経済では、消費財、資材、住宅、労働力の不足が広範かつ持続的に見られた。コルナイは『Economics of Shortage』(1980年)で、これは誤った価格設定や不適切な計画の結果ではなく、体制にとって通常の状態だと論じた。企業が破産を恐れない場合、投入財への需要は「ほとんど際限がない」。企業は資材や労働力を囲い込み、投資を求めるため、経済では超過需要が再生産される。
メカニズム
- ソフトな予算制約により、企業の需要は価格や費用に反応しにくくなる。
- 投資への渇望:経営者や省庁は、失敗の費用を負担せずに投資資金をめぐって競い合う。
- 囲い込みと強制的な代替:買い手は入手可能なものを何でも買い、在庫を積み上げ、手に入る投入財に合わせて製品を作り替える。
- 行列と地位による配分:消費者や企業は行列に並び、コネを利用し、あるいは行政上の優先順位に基づいて商品を受け取る。
- 売り手市場:生産者には、品質を高めたり買い手の要望に応えたりする理由がほとんどない。
理論
コルナイは、社会主義経済を「資源制約型」、企業が買い手をめぐって競争し、余剰生産能力が常態となる資本主義経済を「需要制約型」と対比した。『The Socialist System』(1992年)では、党による権力独占と国有制に始まり、官僚的調整とソフトな予算制約を経て、典型的な行動に至る因果連鎖の中に不足を位置づけた。この理論は、不足を抑圧されたインフレとして捉え、適切な価格設定によって解消できるとする不均衡マクロ経済学と競合した。コルナイは、予算制約がソフトなままである限り、価格変更だけでは不足は解消されないと考えた。
実例
- ソ連、ポーランド、東ドイツでは、自動車や住宅を入手するまで何年も待つ待機リストがあった。
- ハンガリー、ポーランド、ソ連の企業は、不足が続く一方で投入財の在庫を大量に保有していた。
- 1980年代のポーランドやチャウシェスク政権下のルーマニアでは、不足と行列が見られた。
批判
測定された不足のうち、どの程度が体制に起因し、どの程度が引き上げ可能な固定価格を反映していたのかについては、経済学者の見解が分かれている。一部の改革派経済学者は、ハンガリーの部分的な市場改革によって、所有制を変えずに不足が緩和されたと論じた。また、この理論は記述的であり、定量的な検証が難しいと指摘する者もいる。
結果
この理論は1980年代に社会主義経済を説明する標準的な見方となり、体制移行政策にも影響を与えた。1989年以降、破産法や銀行改革を通じて予算制約を厳格化することが中心的な課題となった。制約がソフトなままだったところでは、企業は滞納や不良債権を積み上げ続けた。
主張
コルナイは、社会主義経済における慢性的な不足は計画の誤りの結果ではなく、システムに起因すると論じた。ソフトな予算制約に直面する企業は、ほとんど飽くことなく投入財を求め、それが超過需要を再生産する。[1][2]
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